2018/11/15 14:58
さて、何で私が花王株式会社に入社した時の疑問、

「なぜ、化粧品や皮膚の知識を学校で教えてこなかったのだろう」
の点です。
それは花王ソフィーナの化粧品発売に際し
・皮膚の構造
・うるおいのメカニズム
・化粧品の役割と使い方など
花王ソフィーナはしっかりと
情報として消費者に【何故】を発信したということなんです。
それまでの 基礎化粧品 と言えば
・しっとり
・さっぱり
などという情緒に訴えただけで
売れる時代でしたから。
また
私自身が、メディア(当時のメディアは雑誌・新聞)
に情報を発信する立場で仕事を担当してきたから
疑問に思ったのかもしれませんね。
当時は
雑誌の美容担当者は
皮膚の構造もうるおいのメカニズムも全く知らなかったのです。
花王が皮膚の内側にある 細胞間脂質 いう成分の重要性に気づき
セラミド成分を開発発表したころから
唯一、女性で広報担当をしていた私に取材が集まり
当時は、連日美容担当者の取材に追われる毎日でした。
もう30年前のことです。
この情報はNHKの婦人番組で大きく取り上げられ
時間をかけて放映されました。
化粧品とは
「健康な皮膚を健やかに整える」
という当たり前の定義をしっかりと踏まえたうえで
基礎化粧品である
化粧水や乳液、クリームという製品の効果を
保湿効果として肌の仕組みとともに発信した花王。
資生堂に勤務し
ある程度の皮膚の仕組みの知識はあったものの
今までの化粧メーカーには全くない訴求方法でした。
『この新鮮で正直な訴求方法に私は大感激!』
この素晴らしい感激を沢山の女性へ
そして
正しい知識を伝えたい一心で
私は雑誌記者を中心としたメディアに
また、様々な講座で
皮膚の構造
うるおいのメカニズム
化粧品の役割 を伝えてきました。
「女性に詳しい知識はいらない」
そんな、女性を蔑視した考えがあったのでしょうか?
そうであれば、とても悲しいことです。
私は、花王ソフィーナの発売に携わったこと
そして研究所との交流で、大きな財産を得た気がいたしました。
その後
ソフィーナは女子大生の増加とあいまって
理屈が必要な消費者の支持を受け
二年後には
あっという間にトップブランドに成長したのでした。
~柳原智子の『化粧伝(けわいでん)』③ へ続きます~